ピロリ菌とは?
胃がんリスクを高めるとされている細菌です
ピロリ菌は正式には「ヘリコバクター・ピロリ菌」と言い、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因となるほか、胃がんリスクを高めることがわかっています。衛生環境が整備されていなかった時代に幼少期を過ごした方(65歳以上)で感染が多くみられ、環境が整備された今では感染率は低減しています。ですが、ご家族から口を介して感染するケースもありますので、まわりのご家族に感染者がいる場合には、ご自身も一度検査を受けられることをおすすめします。反対に、ご自身が感染している場合には、まわりのご家族にも検査をすすめるようにしましょう。
どうしてピロリ菌検査は大事なのか?
ピロリ菌に感染すると胃がんリスクは5倍
ピロリ菌に感染することで必ず胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんになるわけではありませんが、感染者はそうでない方と比べて5倍も胃がんリスクが高いとされています。これはピロリ菌に感染して長年にわたって炎症が続くことで、「萎縮性胃炎」という胃がんが起こりやすい状態になるからです。
若い方にこそ受けてほしい「ピロリ菌検査」
若い世代でのピロリ菌感染率は低減しているからといって、「若い方は検査を受けなくていい」というわけではありません。まわりのご家族に感染者がいる場合、若い方でも感染している可能性があります。ピロリ菌検査は若いうちにやっておかないと、50~60歳になってからわかってもすでに胃癌のリスクが上昇してしまっており遅すぎる場合があります。なので、年齢にかかわらず20歳を過ぎたら一度は検査を受けておいた方が良いでしょう。
天神橋筋六丁目駅のたむらクリニックでは、内視鏡専門医・ピロリ菌感染症認定医による専門性の高い内視鏡検査が受けられます。胃がんを早期発見するためにも、「ピロリ菌検査を受けたことがない」という方は一度当院へご相談ください。
一度感染すると発がん率は高いまま
ピロリ菌に感染したことがある方は、たとえ除菌治療を受けても発がん率は高いままです。なので、年に1回の定期的な検査でご自身の状態をきちんと確認しておく必要があります。胃がんが早期発見できれば、手術や化学療法などが回避できる確率が高くなります。年に1回の負担・手間でそうした事態が回避できるなら、きちんと受けておいた方が良いと思います。
ピロリ菌検査・除菌について
ピロリ菌の検査方法
胃カメラ検査によりピロリ菌感染が疑われる場合には、「尿素呼気試験」で診断を行います。診断薬を服用し、その前後の呼気を集めてピロリ菌感染を診断します。
なお、胃薬を飲んでいたり、食事をしたりしていると検査できないため、そうした場合には「抗体測定」や「糞便中抗原測定」という別の検査を行うこともあります。
「内視鏡検査時の簡易の検査で陰性と言われた」という方がよくおられますが、それでは不十分なことが多いので、一度は上記の検査を受けられることをお勧めします。
ピロリ菌の除菌治療
検査の結果、ピロリ菌感染が陽性だった場合には、抗生剤を使用して除菌治療を行います。除菌治療は1日2回、1週間お薬を服用していただくだけです。なお、胃カメラ検査を受けて感染が認められ、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、慢性胃炎と診断されれば除菌治療は2回まで保険が適用されます。
1回目の治療で除菌が成功すれば除菌治療は終了です。除菌に失敗した場合は、お薬の種類を変えて2回目の治療を行います。ほとんどの方が2回目の治療までに除菌に成功されています。
ピロリ菌除菌の判定
ピロリ菌が除菌されたかどうかは、除菌治療を1週間続けた後、4週間以上たってから「尿素呼気試験」または「糞便中抗原測定」で判定します。ごく稀に「抗体測定」を行う場合もあります。